【トル日友好☆打ち出の小槌】 <その3> トルコの生活への「抹茶」の普及を目指すカラデニズ抹茶

トルコ人の家に「チャイ(お茶)」に招かれたが、出されたのはトルコの黒い「シヤフ・チャイ(いわゆる紅茶)」ではなくて、緑色の「抹茶」だった。そんな日はもうそれほど遠くはない・・・かもしれない。

【トル日友好☆打ち出の小槌】 <その3> トルコの生活への「抹茶」の普及を目指すカラデニズ抹茶

【Podcast】 TRT日本語お手紙交換局 ~ 心と心のキャッチボール ~ (第50回)

 

 

 

抹茶」は世界中で知られている日本(にほん)の有名なお茶である。トルコでは「Matcha Çayı」(マッチャ・チャイ)と呼ばれている。直訳すれば、「抹茶茶」となる。

トルコ語の文法に極力忠実に表記するなら、「マッチャ・チャユ」となる。「チャイ」の前に抹茶がついたため、トルコ語の文法の規則上、「チャイ」の一番最後の「イ」が「ユ」に変身する。

 

それはさておき、「マッチャ・チャイ」、つまり抹茶は、この1、2年、トルコのあちこちで自然に見かけることができるようになった。

抹茶ラテをメニューに置いている喫茶店も増えた。味もなかなか良い。 最近のトルコは、コーヒー専門店やお茶専門店の人気が上がっているせいか、そういうものへの関心も高まっているかもしれない。

 

抹茶そのものを販売する店も増えた。

昔は抹茶を買いたくても探すのに一苦労だったが、今ではハーブや健康食品を扱うお店で簡単に手に入れることができるようになった。ここ最近は種類も豊富になってきて、どれを買おうか迷うほどである。

トルコで抹茶は薬局にも置かれている。「健康に良い」「ダイエット効果がある」という触れ込みから、抹茶の人気は日々急上昇している。

最近ベジタリアンやビーガンへの関心が高まりつつあるトルコでは、そういう人たちが安心して口にすることができるという観点からも抹茶は注目されている。

 

 

世界は「抹茶=日本」「日本産以外の抹茶は駄目」という「固定観念」とか「先入観」とかとも言うべき非常に強いイメージに支配されているが、実はトルコでも密かに良質の抹茶の生産が行われている。

トルコきってのお茶の名産地、黒海地方のリゼ県では、いくつかの会社の主導で抹茶の生産が行われている。

その中で、「抹茶文化」をトルコの生活にうまい具合に融合させ取り入れようと、お茶生産の本場リゼ県で、何年にもわたり真剣に取り組んでいる人たちがいる。

それは、「カラデニズ・マッチャ」の製造販売を行う会社、エン・イェシル・チャイ食品産業(最高級緑茶食品産業)である。

「カラデニズ」はトルコの北にある海、「黒海」を意味する。つまり、「黒海抹茶」である。お茶生産の本場リゼ県で誕生した抹茶なので、「カラデニズ・マッチャ」と名付けたのだと言う。ここでは「カラデニズ抹茶」と表記することにする。

「カラデニズ抹茶」の公式インターネットサイトで明かされている情報によると、「カラデニズ抹茶」は、元々はトルコの「シヤフ・チャイ」(直訳すると「黒いお茶」の意味だが、いわゆる「紅茶」のことである)の生産を行っている一家の兄弟により生み出された。

この兄弟がどうして抹茶を作ろうと思ったのかは明らかにされていないが、ある日、何かのきっかけで抹茶を作ろうと思い立ち、抹茶の開発に取り組み始めたようである。 何年間も研究に研究を重ねてリゼ産の日本の抹茶の生産に成功した兄弟は、数多くの専門家に評価を依頼した。その結果、非常に高い評価を得たため、国に利益をもたらすために、抹茶の販売を開始することを決意したと言う。

 

 

 

 

さまざまな斬新なアイデアで「抹茶」の普及を目指す

 

カラデニズ抹茶の人たちは、ソーシャルメディアのインスタグラムを上手に利用して、トルコの人々を「抹茶ワールド」に引き込んでいる。

 

今や世界の定番となった、ケーキやクッキーなど抹茶入りのお菓子や抹茶ラテはもちろんのこと、トルコのふわふわパン「アチマ」などのトルコの食べ物に抹茶を加え、トルコの食卓や生活に抹茶を取り入れるさまざまな提案をしている。

その真摯な努力は、「抹茶は単なるお茶ではない」、「抹茶は飲み物の域だけにはとどまらない」ということを証明したいかのようである。

 

 

(抹茶入りアチマ)

 

 

 

(抹茶入りクレープを取り入れたトルコの「朝ごはん」の一例)

 

 

 

(トルコの人々が大好きなヘーゼルナッツクリームに抹茶を合わせたもの)

 

 

 

アイデアの中にはかなり斬新なものも多い。

 

 

(リゼ産みかんの抹茶がけ)

 

 

 

(アボカドのカップで飲む抹茶ラテ)

 

 

 

(抹茶のデトックスドリンク)

 

 

 

 

トルコと日本の食文化の融合が具現化された「カラデニズ式抹茶の入れ方」

 

カラデニズ抹茶の人たちが提案する新しい抹茶の入れ方は、極めて斬新である。

 

 

 

 

《 カラデニズ式抹茶の入れ方 》

1. カップにお湯を入れる。

2. お好みの量の抹茶を入れる。

3. 茶せんなどを使って、上下に動かすように混ぜる。

4. お湯を少し加える。

5. 再び、茶せんなどを使って、上下に動かすように混ぜる。

(4と5は省略可能)

 

 

この方法の素晴らしいところは、トルコのインスタントスープの作り方とトルコのチャイの入れ方の手法が抹茶の入れ方にうまく融合しているというところである。

「お湯を入れてから抹茶を入れる」のは、トルコのインスタントスープを作るときの一般的な方法と言える。市販のインスタントスープの作り方には水を入れてからスープの素を入れるように書いてある。

また、「チャイダンルク」と呼ばれるトルコのチャイ用のティーポットは2段式の構造になっており、上にはチャイ、下には水(お湯)を入れる。チャイのグラスや最初にチャイを入れてから、お湯を入れ、チャイの濃さを調節するというのが、トルコの正しいチャイの入れ方である。

「カラデニズ式抹茶の入れ方」は、トルコと日本の食文化の融合が具現化された形であると言える。

 

 

 

 

手軽で健康的なインスタントティー「抹茶」

 

トルコでは、手軽に飲めるおいしくて健康的なインスタントティーとして、抹茶を愛飲する人も多い。

 

例えば、TRT(テーレーテー)のある言語デスクの担当たちは、カップに抹茶とお湯を入れ、スプーンなどでくるくるとかき回して飲んでいる。「インスタントコーヒー」の感覚である。

 

 

◇ ◇ ◇

 

抹茶が世界中に広まるにつれ、さまざまな方向に新たな抹茶文化が発展した。

世界各地で生まれた新しい抹茶の楽しみ方は、抹茶の祖国日本に、「しきたりはもちろん大事だが、自由かつ気軽な気持ちで楽しむこともできる」という抹茶に対する新たな気づきを与えた。

 

そして、ついにトルコにも抹茶の文化が浸透し始めた。

 

トルコが世界に誇る「チャイの文化」は、トルコの食文化において既に不動の地位が確立されており、味も趣もチャイとは全く異なる抹茶が入り込むのは困難を極めることは想像に難くない。

 

そのような厳しい状況の中、抹茶がトルコの食文化における地位を獲得し始めた背景には、カラデニズ抹茶の人たちや、抹茶を愛するトルコの人たちの陰ながらの必死の努力がある。

そういった人々の努力により、調和が保たれた状態でトルコの食文化と日本の食文化が織り合っていく。

 

トルコの人の家にお邪魔したら、「カラデニズ式抹茶の入れ方」方式でトルコのチャイグラスに注がれた「抹茶チャイ」でもてなしを受けた・・・そんな日が来るのは、もうそれほど遠いことではないかもしれない。

 

 

 

2019年12月20日 金曜日

文責: 浅野涼子 (ryoko.asano@trt.net.tr)

 

 

 



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