YPGとアメリカの間の原油合意

政治経済社会研究財団(SETA)対外政策研究者ジャン・アジュン著

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YPGとアメリカの間の原油合意

 シリアの原油をテロ組織YPG/PKKの支配地域にある油井から採掘し加工するため、YPGとアメリカ企業のデルタ・クレッセント・エネルギー社の間で合意が結ばれたことが、トルコで反発を招きました。アメリカがトランプ大統領を介してシリアから完全撤退する政策とは逆にシリアに居座ることを見込んだこの合意は、シリアの領土保全とテロ組織YPGに対するトルコの懸念に関して新たな疑問を生みました。アメリカの官僚が原油を保護してシリアにとどまり続けるようトランプ大統領を説得している中でこの合意が結ばれたことで、ホワイトハウスも、シリアにとどまり続け、地域のパートナーとしてYPGとの関係を維持しようとする可能性があります。

 2019年に設立されたデルタ・クレッセント・エネルギー社が地域で石油生産の許可を得た初のアメリカ企業であり、パートナーにアメリカの熟練の官僚がいることが注意を引きます。そのほか、シリアでの原油採掘において豊かな経験を持つイギリス企業のガルフ・サンズ社の元経営者ジョン・P・ドリア-・ジュニアなどの人物がいることも、注意すべき点です。

 本来、デルタ・クレッセント・エネルギー社とYPGの間でしばらく会談が続いていたことが知られていました。事実、これまでも、この件で多くの企業や国がいたことが思い返されます。しかし、アメリカがこの件で決定的な姿勢を取ったことが言えます。原油はシリアの再興と再建のための資金源として捉えられていますが、トルコに言わせれば、このことは、アメリカの技術によりYPG/PKKが自らの存在を維持することにつながってしまいます。事実、トルコ外務省も次のような声明を発表しています。

「テロ組織YPG/PKKは、この行為により、シリア国民の天然資源を手中に収めて分離政策を進める姿勢を明確に示した。シリアの天然資源はシリア国民のものである。アメリカが国際法を無視し、シリアの領土保全、連帯、主権を侵害し、テロリズムへの資金調達となるこの行為を支援していることは遺憾である」

 トルコが今後、地域で変化を強いる軍事行動を起こさざるを得なくなる可能性があります。



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