リビア内戦の最後の幕

政治経済社会研究財団(SETA)対外政策研究者ジャン・アジュン著

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リビア内戦の最後の幕

 リビア国民合意政府に属する軍が、トルコの支援も受けつつ首都トリポリを前にハフタル将軍率いる民兵を打ち負かした後、東に向かって進軍し、沿岸都市シルテと戦略的なジュフラ空軍基地を制圧すべく、新たな作戦を開始しています。ハフタル軍は、エジプトの首都カイロでシーシー大統領と会談して停戦を呼びかけ、せめて戦場で現在の軍事的状況を保とうとしています。

 リビア内戦で、トルコの国民合意政府への支援の効果は日に日に明らかになっており、ハフタル軍は初めて守勢に出ました。トルコ軍がトリポリとミスラタに展開し、リビア軍に軍事訓練を施し、顧問役を務め、これもリビア軍に必要な軍事装置を提供していることで、戦況は完全に変わりました。特に、リビア西部の地域で空の支配権が確立され、ハフタル軍民兵は大きな損失を被って撤退を始めています。今、衝突の中心には戦略的な重要性を持つ2つの都市があります。沿岸都市のシルテと、非常に重要な空軍基地を抱えるジュフラです。

 この2都市が重要なのは、特に、リビアの原油の大部分を内包する原油の三日月地帯に開かれた足がかりの地となっているためです。リビア軍はこれらの地域も制圧して原油の三日月地帯に到達し、そこを管理下に置いて再び生産と輸出を始めようとしています。ハフタル将軍は、アラブ首長国連邦(UAE)などの国々の要求も考慮して、リビアの原油生産を停止しており、輸出は中止されました。こうして、国民合意政府は経済的な窮地に立たされ、およそ150万バレルの原油生産が止まることで世界の原油価格が高騰するはずでした。国民合意政府が停戦と政治的解決のために会談する前に、シルテ、ジュフラとともに原油の三日月地帯の制圧を目指している理由はその点にあります。

 リビアでは、戦場における軍事的情勢のほか、政治的にも重要な進展が起きています。まず、ハフタル軍を支援するアラブ首長国連邦、ロシア、エジプトなどの国々が、停戦宣言を望んでおり、国民合意政府を前にさらなる損失を防ごうとしています。しかし、さらに重要なのは、ハフタル軍の敗北の後に様々な者が様々なことを模索しているのが見受けられることです。特に、トブルクに展開している代表議会のアグイラ・サーレハ議長が注目を集めています。トルコは軍事的・政治的支援を続ける一方で、特にアメリカとロシアも勢力バランスという点ではリビアで共通の立場にいます。アメリカも、最近のリビアの政治が国民合意政府に有利に変わりつつあることを見ています。リビア東部でロシアの軍事的存在が拡大していることにより、アメリカは大いに動揺しており、トルコとともに行動せざるを得なくなりつつあります。



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