原油戦争

政治経済社会研究財団(SETA)研究者・作家ジャン・アジュン著

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原油戦争

 OPECプラスと名付けられ、OPEC加盟国とロシアが結成した構造が、長い間、供給のバランスを整えつつ、原油価格を一定のレベルに保つよう努めてきました。特に、アメリカのシェールオイル生産者が生産を拡大すればするほど、OPECプラスの加盟国が次第に市場での利益を失い、価格の安定がジレンマに陥ったことが見受けられても、その協力を何とかうまく維持することができていました。しかし、新型コロナウイルスによって生じた新たな潮流が、世界中の国々を襲い始めたこの時機に、世界経済が揺さぶられ、新たな景気後退が触発されていることが見て取れると、原油市場は需要ショックを被り、OPECプラス諸国も既存の協力を続けることはおろか、それ自体が存続するかどうかすら、サウジアラビアとロシアの腕相撲に完全に委ねてしまいました。

 中国の武漢で発生し、全世界に広がったコロナウイルスは、世界規模の健康の脅威を生んだほか、世界経済をも根底から揺るがし始めました。中国をはじめ、多くの先進国をも影響下に置いたウイルスにより、生産が急速に減退する中、隔離された人々は消費を一気に制限し始めました。このような状況で、当然のこととして、原油をはじめ、あらゆる商品の消費が急速に後退し始めました。国際通貨基金(IMF)その他の国際金融機関や銀行が検討したところによれば、世界的な景気後退が発生する可能性は非常に高いです。それにより、原油の需要が2020年全体で深刻に落ちることが見込まれています。国際エネルギー機関(IEA)は、原油需要が一日当たり300万から400万バレル減ると予想しています。

 原油市場の需要がこれほど深刻に減ることが予想される中、長い間、アメリカのシェールオイル生産が増え続けています。アメリカは一日当たりおよそ1200万から1300万バレルの生産を行うようになりました。開発されたシェールオイルとガスに関する技術は、生産にかかる費用を日に日に下げています。需要と供給の面で、この影響は、サウジアラビアとロシアをはじめとする従来の生産者への大きな挑戦となりました。

 サウジアラビアはOPECプラスの合意の継続、さらには150万バレル分の追加の生産節減を要請しました。ロシアは、供給の減退がアメリカのようなライバルの有利になり、市場での利益を次第に失っていることを見て、新たな合意がなされるよう提唱しました。ウィーンで開催されたOPEC会議が失敗に終わると、争議は終わりました。ロシアもサウジアラビアも、生産を拡大し、市場の利益を拡大するために活動すると伝えました。そんな中、原油価格が一気におよそ30パーセントも下落しました。関連する専門家たちは、原油価格が20ドルまで下落する可能性があると述べています。これらの数値を見ると、原油生産国が大きな経済危機に陥るであろうことが予想できます。



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