「トルコ外交政策へのまなざし」 第49回

トルコ・ウクライナ関係

「トルコ外交政策へのまなざし」 第49回

カラテキン大学国際関係学部ジェミル・ドアチ・イペク博士著

 

トルコとウクライナの間には、地政学から経済関係、観光業からチュルク系のクリミア・タタール人の状況まで多くの強い絆があります。私たちも今回、トルコ・ウクライナ関係の現在と、トルコ外交政策への影響について分析します。

トルコは、ウクライナの独立を1991年12月16日に承認し、国交は1992年2月3日に樹立されました。トルコ・ウクライナ関係は、2011年に設立された上級戦略評議会により、戦略的パートナーシップのレベルに引き上げられました。両国の間では、2012年8月1日にビザ免除渡航制度が適用されました。2016年のデータによると、トルコのウクライナへの輸出額は12億5000万ドル、ウクライナからの輸入額は25億5000万ドルで、貿易額の合計は38億ドルとなりました。

経済から防衛産業、観光業から文化活動まで、あらゆる分野で発展を見せているトルコ・ウクライナ関係は、2014年にロシアがクリミア半島を併合するとともに戦略的な規模に達しました。2013年にウクライナで始まった危機の当初から、同国の領土保全を強調してきたトルコは、クリミア・タタール人の権利を優先的に主張し、国際的な議論をこのテーマにより行いました。また、トルコ政府は、黒海に接するこの二国家の危機について当初和解を図ろうとしましたが、2015年にロシアが次第にシリア危機に関わるようになり、地域で軍事介入をするようになったことで、異なるプロセスを開始しました。

特にトルコとロシアの間の「航空機の危機」が、二国間の大問題となり、その過程でトルコ政府とウクライナ政府の関係が大きく進展しました。その後、トルコとロシアが危機的な時期を経て様々な分野で協力するようになってからも、トルコ政府もウクライナ政府も、両国関係がどれほど戦略的に重要かを把握していました。

トルコ政府がここ数年間で行ってきた防衛産業により技術の譲渡も話し合われるようになったものの、北大西洋条約機構(NATO)加盟国はこの期待に応えませんでした。ウクライナ政府は自国の東部で衝突が続き、ロシアが新たな軍事介入を行っていることで、ウクライナ軍を強化しようとしています。防衛産業分野で重要な情報を多く保持しているウクライナと、世界最強の軍隊の1つを持つトルコの防衛産業と安全保障分野における目標により、二国は相互に価値あるパートナーとなっています。事実、トルコ政府とウクライナ政府は2014年に軍事技術協定を更新し、レーダー製造、装甲車、戦闘機、ミサイルシステム、無人航空機、航空機エンジン、ナビゲーション、宇宙研究などの多くの分野の共同生産において合意しました。その過程でトルコは、ウクライナ軍に2000万トルコリラ(約4億2000万円)相当の弾薬と機器を提供し、ウクライナ国営防衛産業企業ウクロボロンプロム(Ukroboronprom)とトルコ企業アセルサン(Aselsan)の間で協力が締結されました。合意によると、アセルサンがウクライナ軍に通信用の最新技術を搭載した無線を提供することが伝えられました。また、2018年7月に防衛産業分野で続く活動を加速化させるために第1トルコ・ウクライナ防衛産業協力会議が行われました。

観光業における発展も、二国間で良い影響を生んでいます。2012年にビザなし渡航を開始した両国は、2017年6月以降はパスポートなしの渡航を開始しました。身分証明書による訪問が可能になったことが二国関係の現在を示していることは重要です。ウクライナで国外に出向く人々のうちおよそ70パーセントがトルコに来ています。2018年には昨年に比べて20パーセントの増加により、130万人のウクライナ人観光客がトルコを訪れ、その数は今年末までには150万人になると予想されています。この数値によれば、ウクライナは、トルコに7番目に最も多くの観光客を送っている国となっています。

トルコからウクライナを訪れる観光客数は、年々増えて2018年には30万人近くに達しました。

ここ最近トルコがウクライナで行っている活動により、ウクライナ国民のトルコ語への関心が高まっています。この点で、最近になってウクライナの首都キエフで開設されたユヌス・エムレ文化センターが、「ウクライナでトルコをもっと、トルコでウクライナをもっと」というスローガンにより、トルコ語講座を開いています。

トルコ政府は、トルコ・ウクライナ関係の最も重要な点の1つであるクリミア・タタール人への支援も折に触れて行っています。トルコは、ウクライナ危機の当初からクリミア・タタール人の指導者たちやウクライナ議員のムスタファ・アブデュルメジル・クルモール氏と緊密に会談しています。ウクライナに暮らすクリミア・タタール人、アフスカ・チュルク人、ギョク・オウズ・チュルク人、トルコに暮らすウクライナ人も、二国関係の発展において非常に大きな役割を担っています。トルコのイスタンブール大学内でウクライナ言語・文学科が開設され、様々な教育機関でウクライナ語の講座がスタートしています。その過程でトルコで12のウクライナ協会が設立され、アンカラではウクライナ通信社ウクリンフォルム(Ukrinform)の事務所も活動開始しました。

政治、経済、軍事、外交、文化的分野において、ここ4年間で大きな進展を遂げたトルコ・ウクライナ関係は、どちらの国にとっても非常に重要です。黒海に接する二大国の協力関係は戦略的パートナーシップに変わりました。特に、トルコ政府とウクライナ政府双方が行動して、黒海をはじめ、様々な場で協力していることで、今後、どちらの国も利益を得るでしょう。



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