「エコ・ポリティクス」 第34 回

カスピ海、ステータスを獲得

「エコ・ポリティクス」 第34 回

ユルドゥルム・ベヤジット大学政治学部経済学科エルダル・タナス・カラギョル教授著

 

豊かなエネルギー資源を持つことで重要なカスピ海は、長年そのステータスの問題の陰で競争が行われてきました。カスピ海沿岸の5か国は、カスピ海が湖であるか海であるかという問題において意見を一致させられず、そこにあるエネルギーのポテンシャルが有益に利用されてこなかったことにより、カスピ海は地域の貿易と経済の前に大きな障壁として立ちはだかってきました。長年、会談が行われてきたにもかかわらず結論に至らなかったカスピ海をめぐって、先週合意が行われ、カスピ海は海であるということで意見が一致しました。今日地域の最大の水域として知られるカスピ海が海であるということを、今や沿岸諸国すべてが承認しています。では、長年続いたこの不和は、沿岸諸国にどのような不利益をもたらしてきたのでしょうか?今後カスピ海のエネルギー政策のもとにどのような動きが起こるでしょうか?

北をロシアとカザフスタン、南をイラン、東をトルクメニスタン、西をアゼルバイジャンに囲まれたカスピ海の広さは、37万平方キロメートルです。歴史においてシルクロードのような重要な貿易経路ともなったこの地域の最大の特徴は、エネルギー資源の観点から保持している有益なポテンシャルです。

カスピ海には今日、およそ500億バレルの石油、9兆立方メートルの天然ガスの備蓄があります。最大の石油備蓄は、カザフスタンの領域にあり、最大の天然ガス備蓄はロシアの領域にあります。今日この地域におけるどの沿岸諸国にも、カスピ海のエネルギー資源があります。

しかし、これらの資源の産出と市場への到達、つまり貿易が話となると、そのステータスをめぐる問題が沿岸諸国の前に障壁となって立ちはだかりました。地域で長年続いたステータス問題は、どの国家にも自国に属する領域を確定する際の問題となってきました。なぜなら海と認められれば、違う法規定、湖と認められればこれも違う法規定が適用されるからです。なので、どちらの状況でも、諸国の領域の境界が異なる形で確定されれば、その境界の内側に残るエネルギー資源の量にも影響が及ぶため、沿岸諸国は長年このことについて意見を一致させることができませんでした。

結論として、このエネルギー資源が問題となると、どの国家も自国の領域により多くのエネルギー資源が残る方法を選ぼうとするのはいたって自然なことです。なので、この問題はそう簡単には解決されませんでした。20年以上も続いたカスピ海のステータス問題が今日解決したのは、沿岸諸国にとって極めて良いことではあれ、この期間中にこの国々が失ったのは時間だけだったのかという議論が起こっています。

では、今後、ステータスを獲得したカスピ海ではどんなことが起こるでしょうか?合意によれば、どの国にとっても、その沿岸から15カイリまでを足した領域が自国の領域と認められ、この距離に10カイリを足して合計25カイリまでとなる領域は、どの国にとってもその出漁区域とされます。残りの部分は諸国が共通して利用する領域となります。

カスピ海の海底の分配については、隣同士、また対面する国々の間で領域を分ける決定が下されました。一方、エネルギー資源があるこの領域で築かれる石油パイプラインがどの国の領域を通過していようと、その国々の間で合意がなされる必要があります。ここで最初に思い浮かぶのは、トルクメニスタンの天然ガスをカスピ海西部に通す計画であるカスピ海横断パイプラインプロジェクトです。

地域におけるトルコの役割については、トルコはエネルギー供給の安全の観点から戦略的な役割を持つカスピ海の沿岸諸国と良好な貿易関係を築いています。現在この国々のうちアゼルバイジャンがカスピ海のその領域内のエネルギー資源を輸送したとしても、今後の過程で地域で新たなパートナーシップが生まれるでしょう。カスピ海のエネルギー資源のポテンシャルを有益に利用するために、アゼルバイジャンの天然ガスをヨーロッパに輸送するアナトリア横断天然ガスパイプライン(TANAP)にトルクメニスタンの天然ガスも含まれることになるのは時間の問題です。明確に言えば、カスピ海で新たに築かれるエネルギーバランスの主要な課題は、ハイレベルの競争となるように思われます。



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