「エコ・ポリティクス」 第28 回

東地中海に吹くエジプトの風はバランスを変えるか?

「エコ・ポリティクス」 第28 回

ユルドゥルム・ベヤジット大学政治学部経済学科エルダル・タナス・カラギョル教授著

 

ここ数年で豊かな天然ガスの備蓄が発見されて注目されている東地中海の鉱床をめぐり、ここ数週間で大きな進展がありました。今日まで地域で行われてきた発見において、最も広い天然ガス鉱床を持つエジプトが、今度は世界最大の天然ガス備蓄を保有している可能性のあるヌール(Noor)鉱床を発見しました。今日まで東地中海で発見されたどの天然ガス鉱床よりも多くの備蓄を持つヌール鉱床は、東地中海のエネルギーの方向性を変える可能性を持っています。では、この進展とともに、地域のエネルギーの流れはどの方向に向かうことになるのでしょうか?

東地中海はここ数年で、特にイスラエル、エジプト、キプロスの領海の天然ガス備蓄の発見とともに、世界的なエネルギー大国から注目されています。国際的なエネルギー企業が地域で行っている詳細な活動により、東地中海の天然ガスのポテンシャルが明るみに出る一方、この鉱床は世界的なエネルギーのバランスの一部を担っています。

今日イタリア企業のエニ社が東地中海で活動を行っていた際にエジプトの領海で発見されたヌール鉱床に、2兆5500億立方メートルの天然ガス備蓄があることは全世界が知るところです。さらに、キャパシティが極めて大きなこの鉱床の備蓄が今後、公式に発表された後に世界最大の天然ガス鉱床リストに載ると言われています。

はっきり言うと、東地中海で次々に行われているこれらの発見が、地域のエネルギーのポテンシャルに並行して進んでいるように見えても、ヌール鉱床の天然ガス備蓄を持つエジプトが東地中海のエネルギーのバランスにおいて、大差をつけて優位に立っていると言うことが言えます。

東地中海では最近ではイスラエル、南キプロス、エジプトが、自国の地域の天然ガス備蓄の市場への参入において、一度に多くの合意を行い、様々な輸送経路を通して戦略を発展させていました。これらの輸送経路の中で最も人気があるのは、東地中海の天然ガス備蓄を地中海を通るパイプラインによりヨーロッパに届ける目標を掲げる「イースト・メド」プロジェクトでした。

もちろん、特にヌール鉱床の発見により、イスラエルが自国内の天然ガスをエジプトに売るための合意が話し合われました。さらには、最初の段階ではイスラエル政府の株式市場で、イスラエル沖で天然ガス活動を行う諸企業の株が下がる事態も発生しました。このことにより、イスラエルとエジプトのエネルギーをめぐる関係が短期的に不透明になる可能性があるとしても、長期的には両国が和解に至る可能性もあります。

エジプトがエネルギーをめぐって自国のバランスを取り、地域で優位に立とうとしていることについて話しましょう。エジプトは、地域で最も人口密度が高い国の1つであり、エネルギー消費は日に日に高まっており、特にここ数年間エネルギーの需要に生産が追いついていません。2012年にアラブの春の影響を受け、軍事クーデターが起こったエジプトでは、政治的混乱が経済にも影響し、同国の石油と天然ガスの輸出は中断されました。

今日、エジプトは今でもエネルギー供給における赤字を輸入で補っています。なので、新たな天然ガス備蓄の発見は、今後確実にエジプトにとって希望をもたらすものです。8500億立方メートルの天然ガス備蓄を持つゾフル(Zohr)鉱床と、そのおよそ3倍の天然ガス備蓄を持つヌール鉱床で生産を開始し、これらの備蓄をエジプト国内の消費に加えることで、エジプトは天然ガスの輸入を停止し、天然ガスの輸出を行う国となる可能性があります。

さらには、これらの鉱床で生産を行うことが、エジプトだけではなく、地域諸国の利益にも適う可能性があります。エジプトが天然ガスの輸出国となることで、地域の天然ガス備蓄所有国も行動を起こし、自国の天然ガスをエジプトを通って輸出する経路を開発する可能性があります。

この内容で、地中海沿岸にあるエジプトの天然ガス液化施設・イドゥク施設とダミエッタ施設が使用されることになるでしょう。市場参入について、液化天然ガスの貿易はエジプトにとって非常に有利であるため、エジプトは時とともに地域で注目される天然ガス輸出国となりました。なので、この東地中海の天然ガスを市場に届けることになると、地域にとって最も合理的な道順の1つは、液化天然ガスの生産であろうことを強調する必要があります。

東地中海で最も豊かな天然ガス備蓄を持つエジプトは、今後エネルギー供給の安全をどう確保するでしょうか?誰と同盟を組み、どんな合意をすることになるでしょうか?おそらく今、東地中海のエネルギーの風がどこへ吹いているかははっきりしていることであり、風は南へ向くことになるでしょう。



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