「世界の視点」 第24回

選挙プロセスはなぜもはや極端ではないのか?

「世界の視点」 第24回

アンカラ・ユルドゥルム・ベヤジット大学政治学部クドレト・ビュルビュル学長著

 

トルコで少し後に大統領兼議員選挙が行われます。候補や政党は最高速度でキャンペーンを繰り広げています。トルコ史上初の大統領選挙を見ると、まず目に付くのは、おそらくは歴史上見られなかったほど穏健的なプロセスが進行していることです。かつてのように厳しい、極端な、過激な発言が支配的だった選挙運動の面影もありません。このようになった理由は何でしょうか?

50パーセントと1票を獲得するための和解的な政治の必須条件

以前の選挙を見ると、トルコの政治では20パーセントにより当選することが可能でした。公正発展党(AKP)は、自身にとってより困難な方を選び、大統領が50パーセントと1票により選出されるという規則の制定を主導しました。もはや政党は自らの支持のために政策を講じ、支持を統合するだけでは足りません。候補たちは、当選するために幅広い社会層から票を得る政策を発展させざるを得ません。この目的により新たな有権者層の支持を取り付け、彼らを説得しなければなりません。50パーセントと1票の必要性により、全政党はかつての自らの有権者だけに向けた政治をやめ、この安全な港から離れ、新たな港に向かうことを余儀なくされています。この枠内で全政党がより幅広い社会層に開かれ、より多くの和解的な政策を講じ、過激な発言や人物を正す必要があります。トルコの統治の地域的な困難を考えると、候補と政党が選挙制度に従ってより和解的な政治を行わざるを得ないのは、良い進展です。

第2回投票の可能性

世論調査が大統領選挙は第1回投票で終わることを示しているとはいえ、野党とその候補は第2回投票に残るために全力で活動しています。論理的ではあれ、選挙が第2回投票まで持ち込まれる可能性により、候補と政党はより注意深く慎重に言葉を選ばざるを得ません。特に野党は自らの有権者だけで50パーセントと1票を得る可能性がないために、他の政党や一部は公正発展党から票を奪う可能性があります。この困難により、当然、政党と候補は他の支持者が快く思わない発言や行動を避け、より寛容な政策を行うようになっています。今後、1人の候補または政党の圧力なしに、大統領が第2回投票で選ばれる可能性があります。第2回投票の可能性の緩和的な影響がよりよく見えるでしょう。このような可能性があれば、政党は第2回投票で様々な連立を組み、他の政党も票を集めるために発言を過激化させないでしょう。

有権者も直接候補になれる

以前の大統領選挙では、大統領に選ばれるためには政党の議会グループまたは特定の割合の国会議員だけが候補になることができました。この状況は、実際は有権者の意思が投票に十分に反映しないリスクを抱えていました。民主主義と自由の観点から欠陥がありました。新たな制度によりこの欠陥は取り除かれました。10万票により今や誰でも大統領候補となることができます。この権利は特に小さな政党、周辺的グループを制度内に取り込む観点からも良い機能を果たしています。この権利がなかったとしたら、これらの政党やグループはさらに過激になる可能性もありました。しかしこの権利によりこれらの階層も今や候補を出すことができます。10万票を集められなければ、もはやその罪を制度に着せることはできません。

選挙前の連立

トルコの以前の選挙で政党が連立を組むことは合法ではありませんでした。今回の選挙で連立を組むことができるようになってから、政党は大半が人民連立または国民連立を組んで選挙に向かいます。政党が連立を組んで選挙に向かうことは、2つの形で政治的な緊張を緩和しています。以前は連立や連合は選挙後に行われていました。選挙前は競合的な選挙プロセスが行われていました。今は連立は選挙前に行われ、選挙プロセスに先述の要素も影響しているため、政治的発言は当然穏健的になります。連立が選挙前に行われることで、有権者にこの連立を認めてもらうか、認める可能性がもたらされます。

一方、連立により選挙に向かうと、10パーセントの最低票率に引っかからないために、小さな政党も議会に入る可能性を持ちます。議会で政治的代表が増えることは、選挙プロセスの政治的緊張を緩和します。

排外的なアイデンティティがもはや政治の見返りを得られなくなる

選挙プロセスで、特に左派政党が常に議論してきた、反動派・進歩派、世俗派・非世俗派、モダン派、アタチュルク主義派などの議論はほぼまったく見られなくなっています。これらの議論が政党にとって急に意味を失ったというのは合理的ではありません。この発言の変化の最大の理由は、変化した選挙制度です。自らの支持者のみに基づく排外的なアイデンティティの政治では50パーセントと1票を獲得できないことで、政党は何十年間も続けてきた政策を吟味し直さざるを得なくなっています。当選するためには排外的な政治ではなく、幅広い社会層の支持が必要であることで、政党は変化せざるを得ません。政党がもはや様々な社会層と繋がりを持つべきであることは、トルコにとって良い進展です。

テロ分派の疎外

選挙プロセスで注意を引く別の要素は、テロ組織との間に明確な距離を置いていないHDP(人民民主党)と、目に見える形でさえ、どの政党も連立を組もうとしなかったことです。この社会的な圧力は、民主主義が自らの規則の枠内で機能する観点から良い進展です。政党は一方で市民・民主的組織として選挙に向かい、選挙後に山に向かう者やテロリストの場はなくなり、選ばれていないテロリストから指示を受けることはなくなります。

高まるポピュリズム

選挙プロセスで、幅広い社会層の支持を得る必要は、ポピュリズムも高めることが見受けられます。特に野党は、何をどのように生産するかではなく、何をどのように分配するかを議論しています。この状況は、もはやトルコが2000ドルではなく、1万ドルの所得を稼ぐ国であることから、80セントを必要とすることがなくなっていることによるものです。それとともに、見返りのないあらゆるポピュリズム的支出は、税などの方法により他人が支払った対価によってやっと可能になります。高まる税は市場や民間領域を狭め、生産率を落としてしまいます。誰に対しても何でも見返りなしに約束することは、非生産性、つまり貧困を招いてしまいます。

つまり政治は、反対するものではなく、可能なものを追うということ

トルコが地域で非常に大きなリスクに直面すると、内政において、分離ではなく一体化させ、過激化ではなく結集させ、アイデンティティに訴える政治による小集団ではなく、大集団を優先する政策をより重視することが、トルコの存続にとって非常に重要です。大統領制はこの状況を今から確保しているように見えます。候補と政党は幅広い社会層からより多くの票を得られるようにするために、もはや周辺的/分離的なものではなく、可能なものを追うようになっています。政治とはそもそも「可能なものの業」なのです。


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