「協議事項分析」 第17回

地政学的な挑戦と早期選挙

「協議事項分析」 第17回

政治経済社会研究財団(SETA)の研究者・作家、ジャン・アジュン氏著

 

イラクとシリアを中心とする進展は、トルコの重要性とそれに付随する負担をさらに増大させることになるでしょう。このような危機的な過程にトルコが選挙の負担と共に突入することは危険なこととなるでしょう。6月24日の早期選挙の決定には、国内の動向だけではなく、国境沿いまたは地域全体で発生している活発な進展も影響しました。地域で新たな地図が描かれる中、トルコが選挙運動で時間を浪費することはできなかったのです。トルコが露呈する政治上、軍事上、経済上の最も小さなウィークポイントでさえ、アメリカや人口動態の変化を目指している勢力に歴史的なチャンスを提供することになります。早期選挙はこのリスクに対抗して決定された動きなのです。

イラクとシリアにおける政治的なバランスが不安定である限り、トルコは特に南部国境に対して集中的な外交政策を取る必要があります。地理的な運命により、トルコが欧米諸国のように6か月という期間を経て組閣するといった贅沢はできません。政治的な不安定性が大きな代償となる中東地域では、積極的かつ効果的な外交政策を進めることが不可欠です。新体制へ移行する6月24日の選挙は、トルコの地域政策をさらに効果的にすることが期待されています。2か月よりも短い期間ですら、トルコが選挙運動に時間を割くことを考慮すると、地域のバランスの変化を招く可能性があります。しかし、イラクと特にシリアの未来が今後数年間で形作られることが予想されることから、トルコが選挙を前倒しにして地域で新たな地図を描き、既成事実の成立を阻止することができるのです。

シリアの領土内における分離主義テロ組織PKKのシリアにおける派生組織YPGに対するアメリカの長期投資プラン、ロシアとイランのアサド軍の地位強化の目標、地域におけるイスラエルのアプローチに鑑みて、トルコは国益を保護する措置を講じることができなくてはなりません。アスタナ・プロセスによりロシア、イラン、トルコがシリアの紛争状態を終わらせ、政治的解決に向けて土台を準備しようとしている一方で、アメリカはテロ組織YPGを介してさまざまな目的を追求しています。2017年末にアメリカから直接給料の支払いを受けたテロ組織YPGのテロリスト6万5000人の訓練を計画するアメリカ国防総省は、シリアの領土の一体性とトルコの国家安全保障を脅かしているのです。

シリアでDEASH(ISIL)やテロ組織YPG以外のそのほかのテロ組織の大部分が一掃されたという事実は、国際社会の関係者たちに戦後の秩序がどのように構築されるかという方向で措置を講じるよう促しました。恐らく数年続くこのプロセスを経てシリアや地域の運命は特定されるでしょう。シリアが最大の国境を接している隣国であることから、トルコがこのプロセスに直接介入できることは不可欠です。選挙の前倒しにより、トルコはこのプロセスの中で選挙運動に時間を割くことはなく、より効果的な外交政策を取ることができるのです。

イラク地域では分離主義テロ組織PKKが潜伏しており、トルコを直接脅かしています。トルコは現状で、テロ組織PKKに対してイラク国内で軍事作戦を進めています。しかし、イラクで実施される選挙により、軍事作戦の次元は限定的です。イラクでの選挙後に、トルコはイラク中央政府と共にイラクに潜伏するテロ組織PKKの存在を終わらせることを目標としています。一方ではカンディル山脈、他方ではシンジャル山がテロ組織PKKによって基地として利用されています。トルコは選挙を前倒しにすることによって、イラクでテロ組織PKKに対して実行予定の軍事作戦に向けてより強力なポジションを得ることになるでしょう。

一般的には、議会制民主主義から大統領制民主主義への移行プロセスは、トルコの官僚と政府を弱体化させて鈍化させていました。移行プロセスが迅速に完了することにより、トルコはさらに効果的な、さらに迅速な、さらに安定した政策を出して適用することができます。特に外交政策の観点から、政治制度の移行を完了したあと、トルコは楽になるでしょう。


キーワード: 協議事項分析

注目ニュース