「トルコ外交政策へのまなざし」 第13回

欧米のために鐘が鳴る:テロ組織PKKとYPGの外国人戦闘員

「トルコ外交政策へのまなざし」 第13回

アタテュルク大学国際関係学部ジェミル・ドアチ・イペク博士著

 

世界の様々な地域からやって来てシリアの内戦に加わる外国人テロリストは、現在まで多くの問題を起こしてきました。しかし、問題の主要な部分は、ここ最近ではヨーロッパとアメリカにとって現れているように見えます。私たちも今回、テロ組織PKKとYPGの外国人戦闘員と潜在的なリスクを分析します。

著名な作家アーネスト・ヘミングウェイの著作「誰がために鐘は鳴る」を皆さんも読んだことがあるかと思います。この本には、スペイン内戦で爆発物専門家として働くアメリカ人のスペイン語教師の目から見た出来事が描かれています。なので、ヘミングウェイはこの有名な本で外国人戦闘員について語ったことになります。スペインの後に世界の様々な地域に向けて外国人戦闘員がなだれ込みました。シリアとイラクで起こっていることの結果、この概念から新たな概念が生まれました。テロ組織の外国人戦闘員です。

テロ組織の外国人戦闘員の概念は、2014年にテロ組織DEASH(ISIL)がシリアとイラクで急速に拡大したことで話題になりました。DEASHが世界各地から地域での戦闘にそのシンパを招いたことで、2014年9月24日に国連安全保障理事会によって「テロ組織の外国人戦闘員」と題した第2178条の決議が採択されることになりました。

外国人戦闘員の概念を集中的に調査した欧米諸国のこの問題への視点は、今日外国人戦闘員となっている者が自国に帰還した際に生じる脅威に基づいています。そのため、DEASHのような組織への参加に議論が集中しています。テロ組織PKKとYPGまたはキリスト教民兵への参加に対する関心は限られています。この見方は、国連の第2170条と2178条の決議にも反映し、テロ組織の外国人戦闘員の概念はDEASHやアルカイダと繋がりを持つ組織の内容で定義されました。

シリアでDEASHが拡大した後、2014年以降テロ組織PKK、YPGに多くの国から外国人戦闘員が加わりました。しかし、欧米諸国はこの問題に関心を持ちませんでした。志願兵や軍団兵といった名称をつけてこの問題をやり過ごしました。テロ組織PKKとYPGに加わった欧米人に関する取り組みは一切行われませんでした。テロ組織PKKとYPGは、2014年にインターネットとソーシャルメディアを通じてDEASHに対し戦うために外国人を招くようになりました。イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ドイツ、デンマーク、ギリシャ、フィンランド、フランス、さらには中国出身のおよそ1200人の外国人戦闘員が、テロ組織PKKとYPGに加わりました。

今日テロ組織PKKにとって国家を築くことは、国際的な社会主義を拡大するための手段となっています。PKKの行っていることとは関係のない、しかし見せかけの表現により話題になっている「民主主義的自治国」などのプロジェクトがヨーロッパやアメリカで左派運動を感化しているのが見られます。現在テロ組織PKKとYPGにいつつ、武装訓練、暴力行為、犯罪行為、過激思想を持って欧米に帰還する極左テロリストが何百人もいます。テロ組織PKKがヨーロッパにおける極左グループと歴史的な繋がりを持つこともわかっています。なので、いつか自国に帰還する欧米人の戦闘員が欧米の安全保障や国際秩序にとっての大きな脅威となるでしょう。

欧米がテロ組織PKKとYPGを支援している理由として、テロ組織PKKとYPGが「世俗的である」ということが示されています。しかしそれには間違いがあります。なぜならテロ組織PKKとYPGの世俗主義というのは、現代的な欧米の世俗主義や民主主義の認識とは一切関係ないからです。テロ組織PKKとYPGは、ソ連の政治局と中国の共産党の世俗主義に続くものです。そのため、テロ組織PKKとYPGの世俗主義というのは、シリアの再興のための経済的・政治的リベラリズムになるものではありません。現在テロ組織PKKとYPGが実質的に支配している社会政治学的な構造や経済的生産モデルは、毛沢東思想の認識の枠組みで「コミューン」に基づいています。テロ組織PKKとYPGの支配下にあるシリアの領土から「親欧米地域」が生まれるのを期待することは大きな過ちです。これらの地域で自由市場経済、個人主義、表現の自由、リベラリズムなどの認識は決して生まれません。なぜならテロ組織PKKとYPGは、「共同体の夢」を見ており、新毛沢東主義者、また新スターリン主義者を自称しているからです。

多くの欧米の(テロ組織PKKのシンパも含めた)オブザーバーや専門家が、(反対意見があったにもかかわらず)PKKが変貌したことを信じませんでした。「ロジャヴァの実験」は、テロ組織PKKの「レーニン主義の先駆的な党」の伝統、また「スターリン主義的指導者のカルト」を再び生じる以外に何らの結果も出しませんでした。

テロ組織PKKとYPG内部の外国人戦闘員が将来的に何らかの国に対しテロ行為を行わないという保証などあるでしょうか?同様に、レーニン主義者・スターリン主義者として知られるこれらの人物が欧米に帰還した際に、自身の思想に反対するグループに対し、テロの脅威を起こさないと、誰が言うことができるでしょうか?これらの外国人テロリストは、アメリカやヨーロッパに帰還する際に、軍事衝突の経験やテロ組織で受けた訓練、過激思想も一緒に持ち込んできます。1人でも、極左グループと共謀してでも、アメリカやヨーロッパにとって深刻な脅威となります。シリアでの経験が、アメリカやヨーロッパのグループをさらに過激化させ、その行動の仕方にも影響を及ぼすでしょう。その暴力の種類や内容が拡大するでしょう。火炎瓶のかわりに手製爆発物を使う可能性も生じるでしょう。

結論として、テロ組織の欧米人戦闘員がシリア北部に向かい、活動範囲がこのように拡大する可能性が生じれば、中長期的な欧米の安全保障にとって大きなリスクとなります。欧米はもはやこの問題の措置を講じ、テロ組織PKKとYPGへの支援を絶つべきです。でなければ、今日テロ組織PKKとYPGの軍事衝突に加わる自国民が、いつかアメリカとヨーロッパの地にスターリン主義者の「アンネシュ・ベーリング・ブレイビク」となって戻ってきます。そしてその日、欧米のために鐘が鳴ることを筆者は懸念しています。



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