「協議事項分析」 第38回

何か月にもわたり、あるマイノリティが、国民である主権国家によって計画的に殺害され、家や村、町が焼かれています。

「協議事項分析」 第38回

家や町が焼かれるだけならまだましです。人々は、子ども、老人、女性の関係なく焼かれるか、刃物で切り付けられて殺害されています。子どもや老人は、激しい水の流れに落ちて溺れています。これらすべての暴虐を行っているのは国家と国家を支える仏教徒の僧侶、兵士、民間人です。

殺害されたのは、ロヒンギャだけではなく、人間性そのものです。国連をはじめ、すべての国際機関が、この虐殺に対し沈黙しました。ロヒンギャはムスリムであるにもかかわらず、何十か国もあるイスラム諸国は全く声をあげませんでした。トルコのレジェプ・ターイプ・エルドアン大統領だけが、この虐殺に反発し、世界の議題にしました。

人権だけではなく、環境や動物の権利についても極めて敏感にふるまうはずの欧州連合(EU)や欧米の国々はすべて、この暴虐に対し沈黙しました。

欧米の全ての人間的価値は、およそ35年にわたり、欧米自身によって消し去られてきました。そしてもはや欧米は何も言うことがなくなってしまいました。欧米、特にEUが「人権」「民主主義」というと、いつもこの言葉の裏に経済的利益が潜んでいるのを誰もが知っています。この苦い事実について、まだ良心が消えていない欧米の人々もよく知っています。

欧米は、自らの価値観を消し去って自らを葬った文明として歴史に残るでしょう。そして、恐るべきことは、私たちはこの悲劇を目の当たりにするだろうということです。

欧米は、四半世紀前にヨーロッパの真ん中でセルビア人がボスニア・ヘルツェゴビナで行った虐殺に目をつむり、自身の死を宣告しました。その後、リビアの内戦における行為、そしてもちろん、イラクとアフガニスタンの事実無根の主張による占領により、欧米への信頼は崩壊し始めました。アラブの春における欧米の姿勢も、まだ存在していた最後の希望を消し去ってしまいました。

民主的方法によりエジプトの人々の大半が選んだムハンマド・ムルシー大統領の政権の転覆事件で、クーデター参加者を支持する欧米の態度は、欧米の価値観の最期となったのです。

トルコでも民主的な方法で選ばれた大統領の政権を転覆させようと企てたクーデター企て未遂者を迎え入れたことは、欧米の偽善を露わにした最新の事件となりました。トルコでクーデター企てを起こした兵士らは、何百人もの一般市民を殺害し、何千人をも負傷させました。欧米世界とEUは、このテロリストらを迎え入れ、その全員に難民としての地位を与えました。

今日その欧米が、ロヒンギャへの暴虐に対し沈黙していることに、誰も怒りはしなくなりました。なぜなら、民主主義、平等、人権、倫理という概念が、欧米にとって利益を得るために利用する道具に過ぎないことを、人々はもはや知っているからです。ロヒンギャに対する暴虐は、本来はシリア、イラク、リビアでの代理戦争と同様のものです。

欧米世界の最大の軍事・経済勢力は、中国の経済的な勢力としての台頭と、シルクロード・プロジェクトの実現を望んでいません。

世界の海上貿易の半分以上はマラッカ海峡を通過して行われています。マラッカ海峡に接する地域には、中国に輸送される石油パイプラインやガスパイプラインがあります。中国にとって極めて重要なこの2つのエネルギーラインがリスクに晒されることで、中国の経済は打撃を受けるでしょう。

これらのパイプラインは、ロヒンギャの地域を通っています。そしてミャンマー政権は、独立を獲得したその日から、ロヒンギャに対し、あらゆる弾圧や暴力を行っています。しかし、2010年からこの弾圧は、虐殺や民族浄化にまで達しました。暴力が暴力を生み、飢えに直面したロヒンギャの地域に、突如として最新モデルの高価な武器を備えたテロ組織が現れました。このテロ組織は、言葉の上ではロヒンギャの権利のために戦うということでした。しかしこのテロ組織が取る行動はどれも、逆にロヒンギャに死や流刑をもたらしました。

中国の重要なパイプラインと海上貿易の80パーセントに達する部分がマラッカ海峡から行われていることで、この国を脅威とみなす経済大国は、新たな解決策を模索するようになりました。アフガニスタンとイラクに、いわゆる大量破壊兵器を除去するために侵入した欧米諸国の軍隊の目的が、それとはかなり違っていることが判明しました。核兵器と大量破壊兵器が存在しなかったことが判明してから、欧米の軍隊がなおもこの国々に留まっている理由を問いただす知識人がいないということはおかしなことではないでしょうか?

1991年から欧米が中東で開始した代理戦争は、残念ながらアジアにも飛び火したのです。ミャンマーの政治家がまともな考えを受け入れ、巻き込まれた渦から自身を解放することができるよう筆者は祈っています。ロヒンギャにジェノサイドを行うことで、地域の防衛、少数派民族、政治の構造が変化させられようとしています。これらの事件は確実に、ロヒンギャに限ったことではありません。これ以上世界がこの汚れた代理戦争の道具になってしまわないよう筆者は祈ります。


キーワード: 協議事項分析

注目ニュース