「協議事項分析」 第32回

アメリカは、1991年から現在まで中東や一部のアフリカ諸国に民主主義を持ち込もうとしています。

「協議事項分析」 第32回

アメリカの民主主義の輸出の影響を最も多く受けたのは、ソマリア、アフガニスタン、イラク、シリアでした。アメリカが民主主義を持ち込んだ国々ではおよそ500万人の民間人が死亡したと推測されています。アメリカがこの国々に民主主義をもたらす前は、内戦や兄弟間の殺人などの事件は殆どありませんでした。アフガニスタンのテロ組織タリバンと軍事政権の衝突はというと、兄弟間の闘争ではなく、完全な政治闘争でした。

ソマリアは、混沌とした情勢から抜け出そうとしていました。イラクには確立された秩序がありました。サダム・フセインの核兵器や化学兵器もありませんでした。なのにアメリカは、この事実がありながらイラクを占領したのです。そして占領から何年も後に、同じアメリカ軍の情報筋が、イラクには核兵器はないと白状したのです。

アメリカは、共闘しているテロ組織YPGを介してシリアにも民主主義を持ち込もうとしています。アメリカが民主主義を持ち込もうとしているシリアに目を向けてみましょう。

先日、ソーシャルメディアに1分17秒の映像が広まりました。

この映像は、シリア北部で撮影されたものでした。倒壊した建物の中で後ろ手を縛られた若者が、力を振り絞って微笑もうとしており、クルド語で、「どうか私を殺さないで下さい。」と言っています。

生と死の間の最もデリケートな線の真ん中にいたこのクルド人の若者は、とてもやさしい声のトーンで、微笑みながら、武器を手にしたテロリストに自分を殺さないでくれと頼んでいます。つまり、微笑みで飾った身振りを見せることで、自分のそれからの年月を奪わないでほしいと頼んでいるのです。このような状況下では、本来はこの声のトーンは懇願と悲鳴となるに違いありません。

映像では、武器を手にし、腕にアメリカの同盟者YPGの紋章が入った、人2人分よりも太った者が、これもクルド語で、怒りに満ちた声のトーンで、「お前は命令に従わなかった。我々の戦いに加わらなかった。そうすることでお前はクルド人を裏切った。そして裏切りの罰は、死ぬことだ。」と言い、それから引き金を引くのです。それから、アメリカの同盟者である他のYPGのテロリストも引き金を引きます。その前にいた、人生を奪わないでくれと頼んだ民間人のクルド人の若者は、手を後ろに縛られた状態で、自分が撃たれることから顔をそむけないまま、微笑みながら死んでいくのです。

アメリカとすべてのヨーロッパ諸国によって、テロ組織PKKの首謀者オジャランは、「テロリスト」だとされています。しかもアメリカは、オジャランの拘束のためにトルコを支援までしたのです。

アメリカの同盟者であるテロ組織YPGは、自分に従わないクルド人を住んでいた土地から引き離し、流刑にしています。住んでいた土地を離れようとしない者や離れることができない者は、あの20代の若者のように、死刑にしているのです。

筆者は、仕事がら、この映像を何度か見ました。戦争とテロにおけるジャーナリストの最も痛ましい最も重苦しい面は、他人の死を目の当たりにせざるを得ないことです。

27年間この仕事をやってきて、このように人生の極限に達した死をもう2回、目にしたことがあります。1つは1994年にボスニアでセルビア人テロリストがドラジャチで1人の女性を子どもたちの目の前で殺害したものです。2つ目は、1999年末頃に始まった第2次チェチェン・ロシア紛争で目にしました。チェチェン共和国の首都グロズヌイで、これもチェチェン人の女性がロシア兵に殺害されるとき、銃弾が女性の体に当たったときに女性の目が笑っていたのを見ました。人の一生よりももっと長く、もっと重い2秒または3秒の時間でした。

今日、アメリカの共闘者であるテロ組織YPGが移住を強制したクルド人の数は、70万人を超えると推測されています。クルド人の名の下にテロを行っていると言われているテロ組織YPGとPYDが、100万人近いシリアのクルド人のうち70万人を流刑にしているのは奇妙なことです。

それでは、テロ組織PYDとYPGから逃れたクルド人は、どの国に避難しているか、ご存知ですか?欧州連合(EU)加盟国の西欧諸国が「クルド人の同郷人を弾圧している」と主張するトルコに避難しているのです。

テロ組織YPGから逃れてトルコに避難したクルド人難民の数は、50万人ほどいると推測されています。トルコは、自国に避難した者の民族的ルーツを尋ねていないためにこの数がどれほど確実かを推測するのは難しいです。しかし、イラク北部のバルザーニ政権に避難したクルド人難民の数は7万人ほどだと発表されました。この状況で、残りのクルド人の全てがトルコに避難していることが分かります。

クルド人がシリアで国籍カードを得たことは一度もありませんでした。トルコのエルドアン大統領が首相だった時代にアサド政権に圧力をかけた後、シリアのクルド人は、歴史上初めて、国籍カードと自身の権利を持つようになったのです。

エルドアン首相以前は、シリアのクルド人は、何千年もの歴史を持つ土地で「難民」の地位しか持っていませんでした。シリアのテロ組織PYDとYPGの弾圧から逃れたクルド人が、トルコのあちこちで安心して居住していることを知っていますか?同時に、希望するどんな仕事でも自由に働いており、起業することもできています。シリアの民主主義と民間人の反体制クルド人組織の全てがトルコの首都アンカラとイスタンブールにあります。反体制派クルド人は、EU諸国で暮らす機会を得られないでいます。人々は、ヨーロッパの警察の目の前でテロ組織PKKとYPGの攻撃に晒されています。そしてそのクルド人政治指導者は、慌てて再びトルコに避難しています。これら全てを考慮すると、次の問いが頭を離れなくなります。「アメリカの民主主義は、なぜ殺人を犯すのか」と。


キーワード: 協議事項分析

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