「トルコの窓から見た中東」 第22回

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、最初の外遊を中東のサウジアラビアに行いました。

「トルコの窓から見た中東」 第22回

私たちも今回、トランプ大統領の中東訪問と地域へのその反映を分析します。

アメリカのバラク・オバマ元大統領は、大統領に就任してしばらく後に、トルコとエジプトを訪問しました。この二国での、アメリカの中東とイスラム世界への政策に関する発表は、大きな期待を呼びました。オバマ元大統領は特に、カイロ演説で民主主義を強調しました。しかし、そのオバマ元大統領は、エジプトでのクーデターに声を上げることをしませんでした。トルコでのクーデター企て未遂事件の背後にいるテロ組織、「フェト」が見えないふりをしました。シリアでの民主主義の要望に背を向けました。このように、オバマ元大統領は大きな失望を買ったのです。この時期、アメリカの地域での伝統的な同盟国のサウジアラビア、エジプト、トルコ、イスラエルとの関係は、オバマ大統領にとって重要とはみなされませんでした。核条約を通してオバマ政権はイランとの関係正常化に踏み出しました。地域でのイランの拡張主義的な振舞いに目をつむりました。同じ時期にシリア、イエメン、リビアは内戦に引きずり込まれました。

トランプ大統領も選挙運動の時期にイスラムとイスラム世界に距離を置いていました。大統領に選出されたすぐ後にも、イスラム諸国7か国の国民のアメリカ入国を禁止しようとしました。しかしトランプ大統領は、イスラムとイスラム世界への態度を変えつつあるようです。トランプ大統領は最初の外遊先にサウジアラビアを選びました。二者会談の他、イスラム諸国の55人の首脳や経営者が参加した会議で発言し、重要なメッセージを発しました。トランプ大統領は以前の発言での過ちを正し、今回はイスラムとテロを区別しました。サウジアラビアの首都リヤドでの演説では、「イスラム過激派テロ」などの言葉を使いませんでした。アメリカの古くからの同盟国に向き直り、イランを脅威とみなし続けると話しました。会議の終わりに、参加国との緊密な協力体制を視野に入れた18条のリヤド宣言を公表しました。リヤド宣言は、テロリズムとイランの拡張政策を阻止する共同責任と義務についての道を、署名した各国に示しています。

中東訪問で、オバマ元大統領が距離を置いていたサウジアラビアとイスラエルと新しいページを開いたトランプ大統領は、パレスチナのアッバース大統領とも面会しました。平和や、二国問題の解決について話し合いました。この地域に関する新たな取り組みへのサインを見せました。イスラエル・パレスチナ和平会議が再開に向けて動き出すよう望んでいると話しました。前向きな雰囲気を作り出しました。しかし、この雰囲気がパレスチナ問題に解決をもたらすことは期待されていません。地域の現在のリスクはもっと北の方にあります。イスラエル・パレスチナ問題は現在、アメリカの外交政策の優先事項ではないのです。なので、短期的にイスラエル・パレスチナ問題に大きな変化があるとは予想されません。

トランプ大統領は大統領就任前は、成功したビジネスマンでした。外交でもその能力を利用しています。というのも、サウジアラビア訪問で1100億ドル(約12兆円)の軍事費を含む合計4800億ドル(約53兆円)分の協定の締結が行われたからです。トランプ大統領のサウジアラビア・イスラエル・バチカン周遊における行動は、より注意深く、外交的なアプローチを取っていることを示しています。トランプ大統領は、中東で新たな地域安全保障構造を構築しようとしています。見た限りでは、トランプ政権の中東政治での優先事項は、湾岸諸国のアラブ同盟国、トルコやエジプトのようなイスラム国家との関係を一新し、従来の同盟国と新たなスタートを切ることです。こうしてトランプ大統領は、オバマ政権とは反対にアメリカを再び中東で影響力のある主体にすることを目指しています。

トランプ大統領の中東訪問は、多くの地域問題において同じ位置にいるトルコとカタールに確実に影響を及ぼします。シリア、エジプト、リビア、イランに向けた政策で、トルコとカタールは類似の優先事項の枠内で動いています。トルコとカタールは最近アメリカとの関係で不和を経験しています。オバマ時代に特にシリア政策が原因でアメリカに反発していたトルコは、トランプ時代にアメリカとより健全な関係を築くことを目指しています。しかし、テロの脅威との戦いでも、対イラン同盟でも、アメリカは、トルコとカタールの支援を望むのなら、トルコとカタールの優先事項に注意を払うべきです。逆のことを考え、その考えをかざしてくる者が出て来るでしょうが、トルコとカタール以外の国と提携して行われる取り組みが成功裏に運ぶのは難しいです。

トランプ大統領は、中東訪問の際の発言で、テロリズムに対する戦いと共闘を頻繁に強調しました。それでは、テロ組織PYDとYPGに対するアメリカの公然たる支援はどう説明するのでしょうか?トルコのあらゆる要望に反し、トランプ政権がテロ組織PYDとYPGを支援していることは、テロとの戦いにおける誠意が疑われる理由となっているのです。

アタテュルク大学国際関係学部研究員ジェミル・ドアチ・イペク氏の見解をお伝えしました。



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