「トルコ・ユーラシア協議事項」 第16回

公共外交はトルキスタン地域で重要な対外政策のツールとなっています。

「トルコ・ユーラシア協議事項」 第16回

私たちも今回、トルコと中国の、トルキスタンでの公共外交活動を比較します。

中国はトルキスタンを、歴史的な影響のある地域の1つとみなしています。その経済と並んでエネルギーの需要も急速に高まっている中国にとって、またトルキスタンは、中国西部にある東トルキスタンとも国境を接していることから、安全保障政策の観点からも重要です。上海協力機構と関連して、中国とロシアには共同のトルキスタン政策があるように見えます。しかし、両国の間には深刻な経済的主権をめぐる競争があります。

この地域に向けたトルコの一般的な政策は、地域にある国々が、独立した政治的・経済的な安定を持ち、自国と近隣諸国との協力体制の中で、国際社会と一体化し、民主主義的な価値観を受け入れる国家として存続するのを支えることです。トルコはこの政策により、地域の国々の重要な協力者となりました。この地域に向けたトルコの公共外交活動は、文化、教育、メディア、開発の支援に集中しています。これと関連して踏まれたステップの1つは、1993年の国際トルコ文化機構(TÜRKSOY)の設立でした。トルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタン、そして北キプロス・トルコ共和国、ロシア連邦に属する自治共和国6か国、そしてモルドバに属するガガウス自治共和国も、オブザーバー国としてTÜRKSOYに加盟しています。

中国はこの地域に、ソフトパワーを築こうとしています。中国がトルキスタンでの利益を守るために実践している政策ツールは、上海協力機構、軍事演習、テロとの共闘、国境地域貿易領域、中央アジア自由貿易領域そして新シルクロードプロジェクトです。中国によって建造された天然ガスパイプラインは、トルキスタンの地域的統合を支えていますが、この地域にある諸国家の主権に対する直接の脅威は生まれませんでした。カザフスタンとトルクメニスタンは、中国の石油と天然ガスパイプラインのおかげで、ロシアへの依存を減らしました。2020年以降トルキスタン地域から産出される石油と天然ガスの最大の顧客は、中国となると予想されています。中国の予算によりキルギスで建造された製油所も、ロシアの燃料供給の独占を防ぐと予想されています。

公共外交の概念に対しプロパガンダに焦点を当ててアプローチしている中国の、この分野の先駆的な機関は、国家評議会情報事務局と国際中国言語評議会(HANBAN)です。HANBANは、孔子学院を本部として活動を行っています。孔子学院のある場所で中国語の教育と中国文化の紹介に向けた活動を行うこのセンターは、同時に奨学金を提供して学生たちを中国に呼び寄せることも目標にしています。交換留学生プログラムや様々な奨学金により、75パーセントがアジア系の15万人以上の学生が毎年中国に留学しています。外交大学の設立によっても、外国の外交官に向けた3か月間の育成プログラムが立ち上げられました。このようにして、未来の政策決定者に対し、中国の良いイメージを作り出そうとしています。

地域との関係で教育活動を特別に重要視するトルコは、1992年から今日までトルコ系諸国から何千人もの学生を受け入れてきました。また、トルコ語の普及に向けて行ってきた活動により、トルコの重要な公共外交のツールの1つとなっているユヌス・エムレ・インスティトゥートが、カザフスタンの首都アスタナとアゼルバイジャンの首都バクーにある本部を通じて地域で活動を行っています。トルコ国民教育省に属する様々な教育機関がこれらの地域にあります。さらに、キルギス・トルコ・マナス大学は、1997年から現在までキルギスの首都ビシュケクで活動を行っています。トルコ系諸国の最初の共同大学であるアフメト・イェセヴィー大学は、教育・調査活動をカザフスタンにあるキャンパスで行っています。

東トルキスタンでウイグル人を弾圧している中国は、この地域に住むカザフ人やキルギス人などの少数派を贔屓して、民族分断を煽ろうとしています。様々な奨学金により中国に招かれているトルキスタンの学生は、主に東トルキスタンにある大学で学んでいます。中国は、この政策によりこの地域のウイグル人のアイデンティティを縮小し、トルキスタンと経済的統合を行って、シルクロードプロジェクトの土台を作ることを目的としています。また、新疆ウイグル自治区プロパガンダ事務局により設立され、中国のこの地域に関するプロパガンダを広めている「天山山脈」という名のウェブサイトが、トルコ語、ロシア語、ウイグル語による情報発信を行っています。

トルコ国際協力調整庁(TİKA)がカザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルクメニスタンで行っている包括的な教育には、医療、観光、林業、農業、畜産業のプロジェクトがあります。2009年3月21日から現在まで放送を続けており、トルコ系諸国の共通の声となることを目標にしているTRTアヴァズは、地域に向けたトルコの最も重要な投資の1つです。トルコ・ラジオ・テレビ協会(TRT)の国外放送局が、アゼルバイジャン語、カザフ語、キルギス語、トルクメン語、ウズベク語、タタール語、ウイグル語などの様々なトルコ系言語で行っているラジオ放送とインターネット放送も、この分野の重要な公共外交ツールです。

キルギスに15か所、カザフスタンに4か所、ウズベキスタンに2か所、タジキスタンに1か所ある孔子学院を開設した中国は、中国国際ラジオの各地の言語で行う放送によっても、地域に影響力を及ぼそうとしています。

アメリカ合衆国、中華人民共和国、トルコ共和国の熟練度を分析すると、アメリカは、国家の考えを軸に運営されるNGOや、中国は直接、国家器官により地域で公共外交を行っているのが見られます。トルコはというと、この二国に比べて、自国の歴史的な伝統から育つ、独自のモデルを築こうと努力しています。

アタテュルク大学国際関係学部研究員ジェミル・ドアチ・イペク氏の見解をお伝えしました。



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